シネマなび...Vol.8

やっと落ち着いた日々を取り戻しています。
久しぶりに<シネマなび>の更新です。

※2006年4月のスタートから2012年5月まで、丸6年間続いた「シネマなび」が2012年8月に閉鎖になりました。当時書いた原稿のままに、加筆訂正しないで再録しています。

Vo.8 2006年11月24日

『カッコーの巣の上で』
先月、東京国際映画祭で黒澤明賞を受賞したミロシュ・フォアマン監督の作品です。15年振りにミロシュ・フォアマン監督と会いました。実は15年前、日本で一緒に作品作りの準備をしました。ユーモア溢れる素敵な監督でした。 ミロシュ・フォアマンはこの作品で米・アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞しています。
精神病院が舞台のシリアスドラマですが、ミロシュ・フォアマンはこの作品をコメディと言っていました。ほかに『アマデウス』や『ラリー・フリント』等の作品も自分の作品はすべてコメディと言っていました。僕にはこの作品だけはコメディには思えなかったのですが......。
ジャック・ニコルソンを初めとした患者たちは当然素晴らしいのですが、権力の象徴として描かれる、ルイーズ・フィッシャー扮する看護婦長の怖さに圧倒されます。ミロシュ・フォアマン作品はいつも権力に挑む人たちが主役です。
何度観てもラストシーンには涙が溢れます。音楽の使い方なども良いお手本です。

カッコー

『デルス・ウザーラ』
厳密に言えば日本映画ではありませんが、黒澤明監督作品なので......
黒澤作品は『七人の侍』を筆頭に『用心棒』『椿三十郎』などのエンターテインメント作品が多く取り上げられます。でも一方僕は『生きる』などのヒューマニズム溢れる作品も大好きです。
この作品は、ロシアの地図作製のために調査隊が自然に挑むお話。その道案内をするのが森に住む猟師のデルス・ウザーラです。いわば文明と自然の対比を調査隊の隊長と猟師という図式で描くのですが、その背景になる自然の描写が素晴らしいです。天候に拘る黒澤監督らしく、いろんな条件を狙って撮っていると思いますがその粘りには感服です。
デルスの叫ぶ「カピターン!」(=隊長)という声に最後の方では感動させられます。 黒澤作品としては大ヒット作品ではなかったと思いますが、是非ご覧ください。

デルス